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Japanische Klassiker mit Furigana

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へいけがに

伝奇ノ匣2 岡本綺堂妖術伝奇集

岡本 綺堂

Lesen Sie 伝奇ノ匣2 岡本綺堂妖術伝奇集 (へいけがに) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 203.094 Zeichen · 411 Bildschirme

Aozora Bunko

不思議の旅

一

と、采女はおどろいて呼んだ。

その声を聞き付けて、小坂部も穴から抜け出すと、いつの間に帰って来たのか、眇目の男は紅葉の木の下にたたずんで、この不意の出来事を冷やかに眺めていた。

不思議の旅

一

そこにたたずんでいる眇目の男よりも、いま目の前に沈んでゆく侍従の運命が小坂部には気遣われた。かれはあわてて洞穴から這い出すと、眇目の男は手をふってさえぎった。

「この川は瀬が早い。一度流されたらもう救われませぬ。」

彼の言うのも嘘ではないらしい。采女は岩から岩をつたって、水に沈んだ侍従の姿を見いだそうと燥っているらしかったが、結局それは無効に終ったらしく、失望の眼をこなたの丘にむけて、とても救われない侍従の運命を悲しげに説明するように、渦巻く水のおもてを指さして示した。それでも小坂部は眇目の男の手の下をくぐりぬけて、丘の下へころがるように駈け降りて行った。

「采女。侍従どのは……。」

「どこへ吸い込まれたやら姿も見えませぬ。」と、采女はいたずらに落葉の上を見まわしていた。

「落葉に埋もれてよくも見えませんが、岩と岩との間には思いのほかに深い淵があると見えまする。」

少しは水練の心得もありながら、采女は底の知れないこの河へむざともぐり込むのを躊躇していると、眇目の男も丘を降りて、しずかに岸のほとりに近寄って来た。