Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
へいけがに
伝奇ノ匣2 岡本綺堂妖術伝奇集
岡本 綺堂
Lesen Sie 伝奇ノ匣2 岡本綺堂妖術伝奇集 (へいけがに) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 203.094 Zeichen · 411 Bildschirme
始末であった。
しかしそれでは際限がない。こんな不安な状態がいつまでも続いていては、周囲の者どもの迷惑ばかりでなく、第一に本人自身の命がたまるまい。殊にこの頃の都は一時の静謐を保っているようなものの、世はほんとうの太平に立ちかえった訳ではない。新田義貞は討たれてもその弟の義助がいる、楠正成はほろびてもその子の正行がいる。そのほかにも奥州の北畠、九州の菊池、四国の土居得能、それらはいずれも南朝に忠節を尽くそうとして、思い思いに機会をうかがっている。その時にあたって、足利将軍家の執事ともあるべきものが物狂わしいこの有様では、なんびとが将軍の帷幄に参じて敵軍掃蕩の大方針を定める者があろうか。諸人の不安は実にここにあった。取り分けて小坂部はその点に就いては、かれの若い胸を痛めていた。
明け暮れに胸を痛めた結果が、かれを駆って兼好の庵へ走らせたのであった。もうこうなったらば理屈も道理もない。恋の相手が人妻であろうとも、自分の身の上が将軍家の執事であろうとも、現在の父としてはそんなことを考えている余裕もなしに、ただ一と筋に迷いつめているのである。ひと通りの意見や説教ではなんの効もないのは判り切っている。