Japanische Klassiker mit Furigana
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へいけがに
伝奇ノ匣2 岡本綺堂妖術伝奇集
岡本 綺堂
Lesen Sie 伝奇ノ匣2 岡本綺堂妖術伝奇集 (へいけがに) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 203.094 Zeichen · 411 Bildschirme
神道も仏道も儒教も軍学も、この場合にはなんの値いもない。しょせんは浮世の酸いも甘いも噛み分けて、人間というものを能く理解している人に就いて、その意見を聞きただした上で、なんとか然るべき処置を取るよりほかはあるまいと、小坂部は賢くも思い付いたのであった。
こう決心して、誰にも知らさず、供をも連れず、かれが唯ひとりで双ヶ岡の秋草を踏み分けて来た以上、自分の胸の奥にも最後の決心を秘めていないのではなかった。人間というものをよく理解しているらしい徒然草の作者が、もし自分と同じような意見をもっていてくれたら、かれは思い切ってその助言に従おうと考えていたのであった。
来て見ると、果たして彼は自分と同じ意見であったが、更にその以上に徹底したものであった。小坂部の腹では、能文のきこえの高い兼好に艶書を書いて貰って、見る眼も綾なる文章に限りなき思いを訴えてやったら、塩冶の妻の魂もおのずと揺らいで、たといその恋を容れるというほどの色よい返事はなくとも、せめては父の胸の結ぼれる解くほどの優しい慰めの返し文をうけ取ることが出来るであろう。泣く子を叱ればますます泣く。さしあたり宥め賺して、おのずとその泣き鎮まるのを待つに如くはない。