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Japanische Klassiker mit Furigana

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へいけがに

伝奇ノ匣2 岡本綺堂妖術伝奇集

岡本 綺堂

Lesen Sie 伝奇ノ匣2 岡本綺堂妖術伝奇集 (へいけがに) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 203.094 Zeichen · 411 Bildschirme

Aozora Bunko

足弱と連れ立っては迷惑であろう。ひと鞭あてて京へ急ぎゃれ。」

「姫上はそれがしが確かにおあずかり申した。お身は早う立ち帰って、館の騒動を鎮められい。」と、采女もそばから追い立てるように口を添えた。

その顔を子細ありげに睨みながら、権右衛門は持っている松明を采女に渡して、ふたたび鞍の上にまたがった。采女はともあれ、彼は眼の前にある主人の命令にそむくことは出来ないので、渋々ながら鞭をとり直した。

「お先きへ御免。」

彼は自暴になったように、罪もない馬を残酷に引っぱたくと、おどろいた馬は彼を刎ね落としそうに跳って狂って、京の方角へまっしぐらに駈け出した。それを見送って、若い男と女とは思わずほほえんだ。

「権右衛門め。館へ戻って、何かあらぬ事どもを言い触らそうも知れませぬ。あやつの眼の色、何やら妬ましげに見えましたれば……。」と、采女は少しく危ぶむように言った。

「何を妬む。権右衛門が何を妬み、誰を妬むのじゃ。」と、小坂部はあざ笑った。「去年の河原いくさにも足軽大将うけたまわりながら、捗々しい矢軍も得せいで、父上の御機嫌さんざんであったを、兄上に頼んで此の頃ようように取りつくろうたほどの不覚者が、われわれの恋仲を薄々気取ったとて、ほほ、それが何のおそろしかろう。