Japanische Klassiker mit Furigana
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へいけがに
伝奇ノ匣2 岡本綺堂妖術伝奇集
岡本 綺堂
Lesen Sie 伝奇ノ匣2 岡本綺堂妖術伝奇集 (へいけがに) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 203.094 Zeichen · 411 Bildschirme
師直の館の中でも、ほんとうにその秘密を知っているものは、小坂部と侍従とその他二、三人に過ぎないので、余の者は皆まことの病気だと信じていた。師冬もやはり正直にそう思っている一人であった。
「御療養はあのように行き届いているに、とかく捗々しゅうがないというは……。」
と、師冬はまた言った。「そのようなことが世間に洩れきこえると、口さがない京わらんべは、やれ楠の祟りじゃの、新田の怨霊じゃのと、あらぬ事どもを言い触らして、父上の武名を傷つきょうも知れぬ。さりとは無念の儀じゃ。もろもろの病いはおのれの心からいずるともいえば、其方たちも常に気を配って、父上の弱った心を引き立つるように努めねばならぬぞ。今朝の注進によれば、畑六郎左衛門は湊の城を出て金津河合江口の城々を攻め落としたとある。由良越前は西方寺の城を出て、和田江守深町の庄を奪ったという。敵がかように勢いを得ては、もう安閑としてはいられぬ時節じゃ。その矢先きに父上の御病気はまことに心もとない。いや、まだそればかりでない、堀口兵部大輔も居山の城を打って出たという注進もある。」
こういう軍ばなしを権右衛門はもう聞き飽きていた。