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Japanische Klassiker mit Furigana

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へいけがに

伝奇ノ匣2 岡本綺堂妖術伝奇集

岡本 綺堂

Lesen Sie 伝奇ノ匣2 岡本綺堂妖術伝奇集 (へいけがに) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 203.094 Zeichen · 411 Bildschirme

Aozora Bunko

女の愛に心ひかされ、油断せしが一生の不覚……。さるにても、源氏に仇なす奴……。おのれ、そのままには……。

(刀を杖に起たんとして又倒る。)

玉虫 はて、騒ぐまい。お身にはまだ云い聞かすことがある。過ぎし屋島のたたかいに、風流を好む平家の殿ばらは、船に扇のまとを立てさせ、官女あまたある中にも、この玉虫が選みいだされ、船端に立って檜扇をかざし、敵をまねいて射よという。やがて源氏の武者一騎、萌葱おどしの鎧きて、金覆輪の鞍置いたる黒駒にまたがり、浪打ちぎわより乗入ったり。

与五郎 おお、それぞわが兄……那須与市宗隆……。

玉虫 おお、那須与市ということは後にて知った。兎にも角にもおぼえある武士ならん、いかに射るぞと見てあれば、かれは鏑矢を取ってつがえ、よっ引いて飄と放つ。さすがに狙いはあやまたず、扇のかなめを射切ったれば、扇は空にまいあがり、風にもまれて海に落つ。(無念の声をふるわせる。)これぞ敗けいくさの前兆と、味方は愁い……敵は勇む。わらわも無念に堪えかねて、扇と共に沈まんかと一旦は覚悟したれど、おもい直してきょうまでもおめおめとながらえしぞ。その与市の弟と名乗る奴、測らずここへ来たりしからは、いかで無事に帰そうか。