Japanische Klassiker mit Furigana
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へいけがに
伝奇ノ匣2 岡本綺堂妖術伝奇集
岡本 綺堂
Lesen Sie 伝奇ノ匣2 岡本綺堂妖術伝奇集 (へいけがに) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 203.094 Zeichen · 411 Bildschirme
木枯の夜
一
知らなければこそ、自分にも問い、さらに兼好法師のもとへも問いにやったのである。その父が自分の不在の間に誰から教えられたのか。権右衛門もそんなことを決して知ろう筈はない。彼はまるで無学といってもよい位の人間である。あるいは侍従がうっかりと口を滑らせて、父の憤怒を惹き起こしたのではないか。そうして、自分に救いを求めたのではないかと思いあたった。いずれにしても、父が小夜衣の歌の解釈を十分に会得してしまった以上、小坂部は今更それを取りつくろう余地はなかった。
師直の大きい眼も火のように晃っていた。しかしそれは先刻の眇目の男のように、小坂部の胸を射透す力をもっていないらしかった。
木枯の夜
一
新古今十戒の歌の意味を誰が講釈して聞かせたか。父が自身にそれを発明しよう筈はないので、小坂部は先ず第一にその説明者のうたがいを、かの侍従の上に置いた。かれが父にきびしく責め問われて、とうとう其の歌の心を正直に白状してしまったのであろうと想像した。いずれにしても、父が小夜衣の謎を解いてしまった以上、今更なまじいにそれを包み隠すよりも、あからさまに何もかも打ち明けて、いっそ思い切らせる方がましであろうとも考えた。