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Japanische Klassiker mit Furigana

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へいけがに

伝奇ノ匣2 岡本綺堂妖術伝奇集

岡本 綺堂

Lesen Sie 伝奇ノ匣2 岡本綺堂妖術伝奇集 (へいけがに) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 203.094 Zeichen · 411 Bildschirme

Aozora Bunko

」

「しかしその敵は……。」

「お身たちの知らぬことじゃ……。」

「勿論、女子どもの知るところではござりますまい。」と、小坂部はわざと取り鎮めて言った。「さりとて武家の妻や娘が敵の兜の星を見るまで唯おめおめとしていられましょうか。女子にはまた女子だけの覚悟もござりまする。」

師直は黙っていた。外には木枯しが又ひとしきり強く吹いて通った。

「父上。」と、小坂部は又呼びかけた。「くどいようなれど、俄かに床を揚げさせられて、そのお姿は何とも合点がまいりませぬ。御出陣でござりまするか。」

「まだ判らぬ。」と、父は叱るように言った。「軍の機密じゃ、お身たちには洩らされぬ。かさねて問うな。」

「いや、お問い申さねばなりませぬ。塩冶どのに討っ手を向けられまするか。」

いつもの凜とした声音におびやかされたように、師直は少しく形をあらためた。彼は肚のなかで舌打ちでもしているように、その厚い唇をゆがめて顫わせたばかりで、娘の問いには何とも答えなかった。

「塩冶殿謀叛によって討っ手を差し向けらるるとか聞きましたが、それはまことでござりまするか。」と、小坂部は畳みかけて訊いた。「その謀叛は確かな証拠がござりまするか。