Japanische Klassiker mit Furigana
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へいけがに
伝奇ノ匣2 岡本綺堂妖術伝奇集
岡本 綺堂
Lesen Sie 伝奇ノ匣2 岡本綺堂妖術伝奇集 (へいけがに) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 203.094 Zeichen · 411 Bildschirme
のう、小坂部。若い同士にはある習いで、お身と采女との密事を兄は決して叱りはせぬ。ただ潔よう思い切って、山名に縁組みしてくるれば、三方四方が無事に納まるというものじゃ。聞き分けてくれ、応と言え。」
彼としては十分の理解と同情とをもっているらしい口ぶりであったが、この兄とこの妹と、ふたりの心と心には大きい距離があった。小坂部はしばらく俯向いてその返事を考えているらしかった。
「ならぬか、応と言うまいか。」と、気の短い兄は畳みかけて問いつめた。「くどくも言うようじゃがお身は賢い。父上の悪業を見かねて、女子の身ひとつで夜陰に館をぬけ出し、塩冶の一家を救おうとしたほどの賢い女子じゃ。物の道理、人間の義理、それの判らぬ筈はあるまい。兄がこれほどに言うて聞かせても、得心せぬとあれば是非がない。師冬にも思案がある。その期に及んで後悔すまいぞ。」
父ばかりでなく、兄もまた一種の暴君になって来たらしいので、小坂部はいよいよ吐胸をついた。殊にこれは直接に自分の身の上に降りかかる大事件であるので、かれは無道の父に対するよりも、更に強い不満を感じた。かれは思い切って兄に答えた。