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Japanische Klassiker mit Furigana

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へいけがに

伝奇ノ匣2 岡本綺堂妖術伝奇集

岡本 綺堂

Lesen Sie 伝奇ノ匣2 岡本綺堂妖術伝奇集 (へいけがに) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 203.094 Zeichen · 411 Bildschirme

Aozora Bunko

童乙 蟹の甲には人の顔がみえています。

童丙 これ、このように、おこった顔をしています。

(指さし示せば、雨月はつくづく視て、思わずぞっとする。)

雨月 おお、なるほど蟹の甲にはありありと人の顔……。しかも凄まじい憤怒の形相……。平家がここでほろびた後に、このような不思議の蟹が……。

三人 そうじゃ、そうじゃ。

雨月 白きは源氏……赤きは平家の旗の色……。あかき甲にいかれる顔は……。平家の方々のたましいが、蟹に宿って迷いいずるか。

童甲 じゃによって、平家蟹といいますのじゃ。

(雨月は黙して蟹をながめている。)

雨月 これ、子供よ。浜育ちとはいいながら、無益の殺生はせぬものじゃ。この蟹を海へ放してやれ。その代りにわしがよいものをやりましょうぞ。

童乙 よい物をくださるなら、すぐに放してやりましょう。

雨月 おお、聞き分けのよい児じゃ。その代りには何がよかろうぞ。おお、これがよい。(腰をさぐりて糒を入れたる麻の袋をとり出す。)さあ、これをやる程に、蟹は早う放してやったがよい。

(童は袋より糒をすくい出して見る。)

童乙 これはなんでござるな。

雨月 それは糒というもので、水か湯にひたしてたべるのじゃ。