Japanische Klassiker mit Furigana
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へいけがに
伝奇ノ匣2 岡本綺堂妖術伝奇集
岡本 綺堂
Lesen Sie 伝奇ノ匣2 岡本綺堂妖術伝奇集 (へいけがに) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 203.094 Zeichen · 411 Bildschirme
その不審は小坂部の胸にもいっぱいに満ちていた。しかしかれのいだいている不審は、単に彼を敵視するという以外に、もっと大きな怖れを含んでいるのであった。夜はすっかり明け放れて、川むこうの崖に垂れかかっている蔦の美しく紅いのも鮮やかに見えるようになった。川の中には小さい岩がところどころにそそり立って、先刻までは黒くばかり見えた落葉が、あけぼのの光りに紅く黄いろく輝いて渦巻いていた。
「ほう、美しい。」と、小坂部は穴の入り口から身をかがめて、水のおもてを瞰おろした。
「よい景色でござりまする。」
采女も侍従も同時に言った。それと同時に水が欲しいという欲望が誰の胸にも忽ち浮かんだ。
「水を汲んでまいりましょうか。」と、采女は小坂部に言った。
「汲んで来てたもるか。」
「すぐにまいりまする。」
穴からくぐり出た釆女は、そこらの落葉を踏みしだいて、水を汲む器らしいものを探しあるくと、そこには乾いた栗の毬が幾つもころげていた。その中から成るべく大きそうなのを三つほど拾って、采女は丘を降りようとすると侍従もあとから這い出して来た。
「わたしも一緒に行きまする。」
「お身はあぶない。