Japanische Klassiker mit Furigana
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へいけがに
伝奇ノ匣2 岡本綺堂妖術伝奇集
岡本 綺堂
Lesen Sie 伝奇ノ匣2 岡本綺堂妖術伝奇集 (へいけがに) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 203.094 Zeichen · 411 Bildschirme
それがしが汲んで来るのを待っておいやれ。」
「いえ、その岸で汲みまする。」
渇き切っている侍従は、あえぎながら采女のあとを追って行った。狭い路を横ぎって嶮しい岸を降りて、采女が岩づたいに川のまん中の方へ渡ってゆく間に、侍従は彼から受け取った栗の毬の一つを持って、岸からうつむいて掬おうとしたが、かれの手は水のおもてまで届きそうもなかった。水の月を掬おうとする猿のように、かれはいたずらに手を伸ばしてあせっているうちに、采女は足場の好い岩の上に渡り着いて、玉のように清らかな水をすくっていた。
それを見ると、侍従はもう堪まらなくなった。かれの渇いた喉はいよいよ焼けそうになって来たので、かれも裳をかかげて岸を降りて、あやうい岩の上を覚束ない足どりで踏み越えてゆくと、岩と岩との間には堰かれた落葉が一面に重なり合ってただよっていた。水の上とは知らないで、かれはその落葉に片足を踏みかけると、忽ちからだの中心をうしなって、水の中にずぶずぶと吸い込まれてしまった。あっという声を聞いて、采女があわてて見かえった時には、かれの姿はもう早瀬にまき込まれていた。
「侍従どの。」