Japanische Klassiker mit Furigana
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へいけがに
伝奇ノ匣2 岡本綺堂妖術伝奇集
岡本 綺堂
Lesen Sie 伝奇ノ匣2 岡本綺堂妖術伝奇集 (へいけがに) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 203.094 Zeichen · 411 Bildschirme
一言の挨拶もしないで別れるのは何だか心苦しいようにも思いながら、不安な道連れと離れるには、こうした方法を取るよりほかはなかった。かれも思い切って采女の意見に同意した。
「どうでもあの男と別れるならば、いっそ今の間に……。」
「それがよろしゅうござりまする。では、少しも早く……。」
二人は眼を見合あわせて、にわかに焚火の前を起ち上がろうとして、思わずはっと息をのんだ。眇目の男はいつの間にか戻って来て、二人のうしろに立っていたのである。彼は例の麻袋を肩にかけて、片手には一羽の鷄をさげていた。鷄の喉からはなまなましい血が流れ出していた。
あいにく相手が戻って来たので、二人も立端をうしなってしまった。二人は再び眼を見あわせて、そのまま焚火の前にうずくまると、男はなんにも言わないで、同じく焚火の前に寄って来て、殺した鷄の毛を引きはじめた。鷄は刃物で喉を切り裂かれたらしく、その傷口からは生血がまだぽとぽとと滴っていた。あまりむごたらしいので、小坂部も顔をそむけていると、男は鷄の毛を引いてしまって、その死骸を辻堂の縁の上にころがした。彼はふところから短い刃物を探り出して、やがてその皮を剥いでその肉を切り刻んだ。