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Japanische Klassiker mit Furigana

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へいけがに

伝奇ノ匣2 岡本綺堂妖術伝奇集

岡本 綺堂

Lesen Sie 伝奇ノ匣2 岡本綺堂妖術伝奇集 (へいけがに) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 203.094 Zeichen · 411 Bildschirme

Aozora Bunko

三

」

黒い影は近寄って声をかけた。それは眇目の男の声ではなく、かの荏原権右衛門の声であったので、小坂部も采女もいよいよ驚かされた。暗いのを幸いに無言で摺り抜けて行こうとしたが、あいにくに路は狭かった。一方は沼でしきられて、一方には水田が広くつづいているらしいので、二人は立ち停まって少しく躊躇していると、権右衛門はすぐに呼子の笛を吹いた。その笛の音が鎮まり返った闇を破って遠くきこえると、うしろからも大勢の足音が近寄って来た。大勢の中には枯枝を松明にして振り照らしているのもあった。

小坂部と采女とは、宵に見た塩冶の人々と同じ運命に陥った。姫を奪われ、わが身も捕われて何となろう。采女はまず眼の前の権右衛門を斬って捨てて、落ちられるだけは落ち延びようと決心した。

三

「権右衛門。」と、小坂部はまず声をかけた。「そなたはここへ何しに来たのじゃ。」

「お迎いにまいりました。」と、権右衛門はさすがに会釈した。「大殿、若殿、お二方のお指図によりまして……。」

「もうこうなったら誰の指図でもわたしは戻らぬ。立ち帰って父上兄上にもそう申し上げい。」

「それでは権右衛門の役目が相立ちませぬ。