Japanische Klassiker mit Furigana
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へいけがに
伝奇ノ匣2 岡本綺堂妖術伝奇集
岡本 綺堂
Lesen Sie 伝奇ノ匣2 岡本綺堂妖術伝奇集 (へいけがに) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 203.094 Zeichen · 411 Bildschirme
狐狸妖怪になぶられたかと思うと、彼の憤怒はいよいよ募った。
「見よ、あすは早朝から狐狩りして、おのれらの巣を焼き尽くしてくりょうぞ。」
その命令は夜のうちに伝えられて、あくる日の早朝から城内の狐狩りが行なわれた。怪しい女の正体は、おそらく年古る狐であろうということに諸人の意も一致して、森のかげ、堤の下、石垣の隙き間まで隈なく猟り尽くした末に、二十四あまりの狐、狸、鼬、貂のたぐいを狩り捕えたが、この古城のぬしらしい怪獣は遂に見あたらなかった。
その次の日の午頃であった。秀吉がやはり二、三人の小姓を連れて、普請場を見廻っていると、とある大樹に立てかけてあった古い角材が突然に倒れかかって来た。素早く身をかわしたので、幸いに秀吉の身にはなんの怪我もなかったが、それに頭を打たれたらどうあろう、と彼もさすがに身を顫わせた。しかも彼の性格として、眼にみえないその仇を憎むの念がいよいよ抑え切れなくなって来た。彼は虚空を睨みながらふと考えた。
「妖怪の棲み家はかの天主閣じゃ。誰かある。かしこへ駈け登って見とどけてまいれ。」
小姓どもは押っ取り刀ですぐに天主閣へ駈けあがって行ったが、それぎりで一人も戻って来なかった。