Japanische Klassiker mit Furigana
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へいけがに
伝奇ノ匣2 岡本綺堂妖術伝奇集
岡本 綺堂
Lesen Sie 伝奇ノ匣2 岡本綺堂妖術伝奇集 (へいけがに) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 203.094 Zeichen · 411 Bildschirme
暗いなかから不意に飛び出して来たのと、こっちが慌てているのとで、そんな風にも見えたのだろう。狼が人間のような姿をしていては大変だ。
おあさ 姿ばかりでなく、顔までが真白な女のように見えたとか云いますが……。
善助 狼の顔が女にみえた……。(又笑う。)それはいよいよ大変だ。勿論、狼にも雌雄はあるが、いくら雌でも女のような顔はしていないだろう。こう云うときには色々の噂が立つものだ。はははははは。
(おいよは終始無言で聴いている。)
お妙 いつかはあの山に天狗が出ると云って、大騒ぎをしたことがありましたな。
おつぎ それから山男が出て来て、子どもを攫って行ったこともありました。
善助 むむ。天狗の出たこともある、山男の出たこともある。なにしろ斯ういう山国には不思議なことが絶えないので困る。いや、飛んだ長話でお邪魔をしました。(立上る。)
おいよ もうお帰りですか。
善助 狼の出ないうちに早く帰りましょう。
おあさ (おつぎと顔をみあわせて。)もう狼が出ますかえ。
善助 なに、狼の出るのは大抵夜更けだというから、日の暮れないうちは大丈夫だ、大丈夫だ。(おいよに。)では、御免なさい。