Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠3
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠3 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 214.131 Zeichen · 423 Bildschirme
「なるほど。それにしてもおかしいのは、あの茶袋が道庵先生に手を取られると、痛いとも痒いともいう面をしないで、ニコニコと笑ったところがわかりませんな」
「いやそうではない、あの茶袋もあれで柔術にかけてはなかなかの取り手だが、何しろ道庵先生に会ってはその敵でないと、つまり自分に心得があるだけに、彼を知り己れを知るんでげすな、だから指を取られるとすぐに、お前は話せると言って莞爾と笑って、尋常に引上げたところがあれで味のあるところで、道庵さんが敵をとっちめながら、ペコペコお辞儀をして先を立てておく呼吸なんぞも、なかなか見上げたものでございますな、エライものでございます」
輿論は往々、土偶人形をも偉大なものに担ぎ上げてしまいます。道庵先生もここで暫く輿論の勝利者となりました。
そのあとで床屋の親方は、道庵先生を座敷へ招いて一口差上げ、
「先生、おかげさまで助かりました。いったいどうしたわけでござります」
「あははは」
道庵先生は笑って、
「あれは二両取りという新手だ、あれで首尾よくとっちめてしまった」
「いや町内では、もう大変な評判で、さっきから入り代り立ち代りお礼にやって来ますが、なんでも先生が柔術の達人で、茶袋を手玉に取って投げたと言って騒いでいますが、その二両取りというのは、やはり柔術の手なんでございますかね」