Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠3
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠3 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 214.131 Zeichen · 423 Bildschirme
関所の役人も実は驚いたくらいで、今ごろ不意に勤番支配がおいでになろうとは思いませんでしたから、多少狼狽してこれを迎えました。能登守はその関所へ暫らく休息して、関所役人から附近のはなしなどを聞いていました。
その時ちょうど駕籠で乗りつけて来た一人の女が、駕籠から出て関所の前へ通りかかりました。
「これこれ、其方はどこへ行く」
関所役人が呼び止めますと、その女は、
「甲府の方へ参りまする、どうかお通し下さいまし」
「手形を持っておるか」
「はい、持って参りました」
女は鼻紙袋を出してその中から、一枚の厚い御手判紙の畳んだのを役人の前に捧げますと、
「ええ、其方は女軽業の芸人を引連れ……かくと申す女であるな」
「左様でござりまする」
「このお手形には二十余人の一座と書いてあるが、その者共はどこにいる」
「それはあとから参りまする」
「待て待て、このお手形の日附が違う、エーと、其方は今より三月ほど前にこの関所を越えて甲府へ出たことがあるように覚えているが、これはその時の手形だな」
「ええ、その……」
「ならん、斯様なものは用向の済み次第お上へ御返納申さねばならん、これを以てお関所を通ることは相成らん」