Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠3
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠3 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 214.131 Zeichen · 423 Bildschirme
「お嬢様の……」
お君にはここで前の日に小橋のほとりで会った、かの呪われた妙齢の女の姿がいちずに迫って来ました。
「お君さん、お前はお嬢様に会いましたか、まだですか」
「いいえ……」
とお君は首を横に振ってしまいました。
「そうですか」
と言ったきりで、お藤は気の抜けたような面をしてお君を見ました。お君はこの場合、お嬢様の身の上のことを尋ねるのだが、なんだかそれは忍びない心持がしたから、取って附けたように、
「まだ、私は旦那様にもお目にかかりません」
「旦那様は、滅多に外へおいでになりませんけれど、どうかするとこの牧場へお伴を連れて出ておいでなさることがありますよ」
「お年はお幾つぐらいでございます」
「もう、いいお年でしょうよ、あの三郎様や、お嬢様の親御さんですから」
「三郎様とおっしゃるのは?」
「こちらの総領のお方、この馬大尽のおあとを取る方なのよ」
「それから奥様は?」
「奥様には、わたしまだお目にかかったことがありません」
と女中のお藤が言いました。
その家の女中でいて奥様を知らないということは、お君の耳には奇異に聞えました。
「わたしが奥様のお面を知らないばかりでなく、うちの女中で、誰でもまだ奥様にお目にかかった者は無いのですよ。