Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠3

中里 介山

Lesen Sie 大菩薩峠3 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 214.131 Zeichen · 423 Bildschirme

Aozora Bunko

その燈火の下で竜之助は、秋の水の流れるような刀を拭うておりました。

刀は幾本も幾本もあって、白鞘のものや拵えのついたものが、竜之助の左の側に積み重ねるようにしてあるのを、右へ取っては拭いをかけて置き換えているようです。

ある時はまたそれを行燈の下で二三度振ってみました。ある時はまたその刃切れを調べるようにしていました。

刀は、いずれも二尺以上のものばかりです。こうして四本かぞえて五本目に抜いた刀は、二尺三寸余りあるように見えます。

「ははあ、これだな、これが手柄山正繁だ」

と呟いて竜之助は、それを自分の右の頬に当て、刃を鬢の毛に触れるようにしていました。

盲目であった竜之助には、その刀の肌を見ることができません。錵も匂いもそれと見て取ることのできるはずがございません。けれども、

「これは斬れそうだ」

と言いました。刃を上にして膝へ載せてから研石を取って竜之助は、静かにその刃の上を斜めに摩りはじめました。竜之助は、いまこの刀の寝刃を合せはじめたものであります。刀の寝刃を合せるには、きっと近いうちにその刀の実用が予期される。明日は人を斬るべき今宵という時に、刀の寝刃が合せられるはずのものであります。