Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠3
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠3 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 214.131 Zeichen · 423 Bildschirme
「お前さんの家はどこで、名前はなんというんだ、改めてお礼に上らなくちゃならねえ」
「わたしの家? そんなことはどうでもようござんすよ、お礼なんぞはいけません――名前だけは言いましょう、お蝶というんですよ。ここへ来て、今時分、お蝶お蝶といえば、大概お目にかかれますわ」
五
落した金をお蝶という夜鷹の女から受取った米友は、不思議な感じに打たれます。
売女のうちでもいちばん卑しい夜鷹、二十文か三十文の金で、女のいちばん大切な操を切売りする女、この女は十両の金が欲しくはないのだろうか、取っても隠しても罪にはならない十両の金は大事に預かって、返しても返さなくても知れるはずのない人へ返してやる、そうして掛替えのない大事な操は二十文三十文の金に替えて惜気がないということが、とにもかくにも不思議です。
不思議に思いながら長者町へ帰って来て、主人忠作の家へ来るには来たが、厭な厭な気持に打たれてしまいました。もう一足もこの家へ足を入れる気にはなりませんでした。なんらの理窟もなしにこの家が厭で厭でたまらなくなりました。
「金は持って来たぞ、そうら、たしかにお返し申すぞ!」