Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠4

中里 介山

Lesen Sie 大菩薩峠4 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 264.133 Zeichen · 524 Bildschirme

Aozora Bunko

「先刻、お尋ねした和田静馬殿にお目にかかりたい」

それは紛れもなき役人たちの声であります。お松はこの声を聞くと、さすがに狼狽えて立ちかけたところを、がんりきはその左の手でお松の手首をとって、

「逃げなくちゃいけません、お逃げにならなくちゃ損でございます、馬鹿正直も時によりけりでございます」

早や表の方では、役人たちが案内されてこっちへ来る足音が聞えます。お松は我を忘れて大小を抱えると、がんりきは早くもお松の荷物を取って肩にかけていて、再びその手を取って、引きずるように廊下へ飛び出しました。

事の急なるがためにお松は、心ならずも、がんりきに引摺られるようにして、この家を外に飛び出しました。

外に出て見ると外は真暗です。その真暗な中を、がんりきは案内を知っていると見えて、お松の手を引きながらズンズンと進んで行ったが、

「誰だッ」

途中で不意に異様な声を立てて、お松の手を放してしまいました。

「ア痛ッ」

最初、誰だッと言った時に、がんりきは何者にか一撃を加えられたようでありましたが、二度目にア痛ッと言った時には、たしかに大地へ打ち倒されていたものであります。