Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

だいぼさつとうげ

大菩薩峠4

中里 介山

Lesen Sie 大菩薩峠4 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 264.133 Zeichen · 524 Bildschirme

Aozora Bunko

「お松、まだ寝ないのか」

「はい、まだ」

お松は窓の戸を締めきらないうちに、主人から言葉をかけられてドギマギして、

「今、誰か来ていたようだが」

お松はハッとしました。

「いいえ、誰も」

この返事も大へん慌てた返事でしたけれども、主膳は深く気にしないで、そのまま行ってしまいました。お松はホッと息をついて窓を締めて座につきました。

駒井能登守の名はお松もよく知っています。名を知っているのみならず、郡内の道中で、親しくお近づきになっています。けれどもその人は甲州勤番の支配である。破牢の兵馬を糾弾すべき地位にある人で、それを擁護すべき立場の人でないということはお松にもよくわかるはずです。それ故にせっかく兵馬の在所を知ったものの、これから先がまだ心配でたまりません。

ただ一つ心恃みなのは、能登守という殿様が、うちの殿様と違って、物事に思いやりのあるらしい殿様であることのみでありました。思いやりに縋ったならばと、お松はそこにいくらかの気休めを感じて、あれよこれよと考えはじめました。

そのうちに、忘れていたのは、さきほど七兵衛が窓から投げ込んで行った品物であります。