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Japanische Klassiker mit Furigana

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こうじょうさいぼう

工場細胞

小林 多喜二

Lesen Sie 工場細胞 (こうじょうさいぼう) von 小林 多喜二 (こばやしたきじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 91.234 Zeichen · 184 Bildschirme

Aozora Bunko

走りながら、こっちでワザと大きな声をあげると、隣りを走っている同志も大きな声を出した。エヘンとせき払いをすると、向う端で誰かゞ、エヘンと答える。それから時には肱で、壁をたゝいて、合図をした。

そのコンクリートの壁には、看守の目を盗んで書いたらしく、泥や――時には、何処から手に入れるものか白墨で「共」という字や、中途半端な「※」「※や、K・P(共産党の略字)という字が幾つも書かれている。看守が見付け次第それを消して廻わるのだが、次の日になると、又ちアんと書かれている。雨の降った次の日運動に出たとき、俺は泥をソッと手づかみにして、何ベンも機会を覗ったが、ウマク行かなかった。俺はどうもそういう事では、ボンくらかも知れない。

或る朝、運動場の端の方にある焼木の柵の割れ目に、松葉の一本々々を丹念に組合せて作られた「K」と「P」を発見した。俺はその時の喜びを忘れることが出来ない。俺は急に踊るときのような恰好をして――走り出した。看守が高いところから、俺の方を見た。看守の眼を盗みながら、どの位の用意と時間をかけて、それを作ったのだろう。その一つ一つの動作をしている同志の気持が、そのまゝ俺に来るのだ。