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Japanische Klassiker mit Furigana

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ひがんすぎまで

彼岸過迄

夏目 漱石

Lesen Sie 彼岸過迄 (ひがんすぎまで) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 195.333 Zeichen · 385 Bildschirme

Aozora Bunko

八

彼はこういう風に気のおける田口と反対の側に、何でも遠慮なく聞いて怒られそうにない、話し声その物のうちにすでに懐かし味の籠ったような松本を想像してやまなかった。

八

翌朝さっそく支度をして松本に会いに行こうと思っているとあいにく寒い雨が降り出した。窓を細目に開けて高い三階から外を見渡した時分には、もう世の中が一面に濡れていた。屋根瓦に徹るような佗びしい色をしばらく眺めていた敬太郎は、田口の紹介状を机の上に置いて、出ようか止そうかとちょっと思案したが、早く会って見たいという気が強く起るので、とうとう机の前を離れた。そうして豆腐屋の喇叭が、陰気な空気を割いて鋭どく往来に響く下の方へ降りて行った。

松本の家は矢来なので、敬太郎はこの間の晩狐につままれたと同じ思いをした交番下の景色を想像しつつ、そこへ来ると、坂下と坂上が両方共二股に割れて、勾配のついた真中だけがいびつに膨れているのを発見した。彼は寒い雨の袴の裾に吹きかけるのも厭わずに足を留めて、あの晩車夫が梶棒を握ったまま立往生をしたのはこのへんだろうと思う所を見廻した。今日も同じように雨がざあざあ落ちて、彼の踏んでいる土は地下の鉛管まで腐れ込むほど濡れていた。