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Japanische Klassiker mit Furigana

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ひがんすぎまで

彼岸過迄

夏目 漱石

Lesen Sie 彼岸過迄 (ひがんすぎまで) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 195.333 Zeichen · 385 Bildschirme

Aozora Bunko

敬太郎は自から高等遊民と称する人に対して、どういう訳かまずこういう問がかけて見たかった。すると松本は「ええ子供がたくさんいます」と答えて、敬太郎の忘れかかっていたパイプからぱっと煙を出した。

「奥さんは……」

「妻は無論います。なぜですか」

敬太郎は取り返しのつかない愚な問を出して、始末に行かなくなったのを後悔した。相手がそれほど感情を害した様子を見せないにしろ、不思議そうに自分の顔を眺めて、解決を予期している以上は、何とか云わなければすまない場合になった。

「あなたのような方が、普通の人間と同じように、家庭的に暮して行く事ができるかと思ってちょっと伺ったまでです」

「僕が家庭的に……。なぜ。高等遊民だからですか」

「そう云う訳でも無いんですが、何だかそんな心持がしたからちょっと伺がったのです」

「高等遊民は田口などよりも家庭的なものですよ」

敬太郎はもう何も云う事がなくなってしまった。彼の頭脳の中では、返事に行き詰まった困却と、ここで問題を変えようとする努力と、これを緒口に、革の手袋を穿めた女の関係を確かめたい希望が三ついっしょに働らくので、元からそれほど秩序の立っていない彼の思想になおさら暗い影を投げた。