Japanische Klassiker mit Furigana
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ひがんすぎまで
彼岸過迄
Lesen Sie 彼岸過迄 (ひがんすぎまで) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 195.333 Zeichen · 385 Bildschirme
七
こういう事情で、今まで母一人で懐に抱いていた問題を、その後は僕も抱かなければならなくなった。田口はまた田口流に、同じ問題を孵しつつあるのではなかろうか。たとい千代子をほかへ縁づけるにしても、いざと云う場合には一応こちらの承諾を得る必要があるとすれば、叔父も気がかりに違いない。
七
僕は不安になった。母の顔を見るたびに、彼女を欺むいてその日その日を姑息に送っているような気がしてすまなかった。一頃は思い直してでき得るならば母の希望通り千代子を貰ってやりたいとも考えた。僕はそのためにわざわざ用もない田口の家へ遊びに行ってそれとなく叔父や叔母の様子を見た。彼らは僕の母の肉薄に応ずる準備としてまえもって僕を疎んずるような素振を口にも挙動にもけっして示さなかった。彼らはそれほど浅薄なまた不親切な人間ではなかったのである。けれども彼らの娘の未来の夫として、僕が彼らの眼にいかに憐れむべく映じていたかは、遠き前から僕の見抜いていたところと、ちっとも変化を来さないばかりか、近頃になってますますその傾が著るしくなるように思われた。彼らは第一に僕の弱々しい体格と僕の蒼白い顔色とを婿として肯がわないつもりらしかった。