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Japanische Klassiker mit Furigana

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ひがんすぎまで

彼岸過迄

夏目 漱石

Lesen Sie 彼岸過迄 (ひがんすぎまで) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 195.333 Zeichen · 385 Bildschirme

Aozora Bunko

僕が姉の気に入らない点をいくらでも有っている内で、最も彼女を不愉快にするものは、不明なる僕のわが甥に及ぼしたと認められているこの悪い影響である。僕は僕の市蔵に対する今日までの態度に顧みて、この非難をもっともだと肯ずる。それがために市蔵を田口家から疎隔したという不服もついでに承認して差支ない。ただ彼ら姉二人が僕と市蔵とを、同じ型からでき上った偏窟人のように見傚して、同じ眉を僕らの上に等しく顰めるのは疑もなく誤っている。

市蔵という男は世の中と接触するたびに内へとぐろを捲き込む性質である。だから一つ刺戟を受けると、その刺戟がそれからそれへと廻転して、だんだん深く細かく心の奥に喰い込んで行く。そうしてどこまで喰い込んで行っても際限を知らない同じ作用が連続して、彼を苦しめる。しまいにはどうかしてこの内面の活動から逃れたいと祈るくらいに気を悩ますのだけれども、自分の力ではいかんともすべからざる呪いのごとくに引っ張られて行く。そうしていつかこの努力のために斃れなければならない、たった一人で斃れなければならないという怖れを抱くようになる。そうして気狂のように疲れる。