Japanische Klassiker mit Furigana
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ひがんすぎまで
彼岸過迄
Lesen Sie 彼岸過迄 (ひがんすぎまで) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 195.333 Zeichen · 385 Bildschirme
「そりゃ広い世の中だから、敵同志の親子もあるだろうし、命を危め合う夫婦もいないとは限らないさ。しかしまあ一般に云えば、兄弟とか叔父甥とかの名で繋がっている以上は、繋がっているだけの親しみはどこかにあろうじゃないか。御前は相応の教育もあり、相応の頭もある癖に、何だか妙に一種の僻みがあるよ。それが御前の弱点だ。是非直さなくっちゃいけない。傍から見ていても不愉快だ」
「だから叔父さんまで嫌っていると云うのです」
僕は返事に窮した。自分で気のつかない自分の矛盾を今市蔵から指摘されたような心持もした。
「僻みさえさらりと棄ててしまえば何でもないじゃないか」と僕はさも事もなげに云って退けた。
「僕に僻があるでしょうか」と市蔵は落ちついて聞いた。
「あるよ」と僕は考えずに答えた。
「どういうところが僻んでいるでしょう。判然聞かして下さい」
「どういうところがって、――あるよ。あるからあると云うんだよ」
「じゃそういう弱点があるとして、その弱点はどこから出たんでしょう」
「そりゃ自分の事だから、少し自分で考えて見たらよかろう」
「あなたは不親切だ」と市蔵が思い切った沈痛な調子で云った。