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Japanische Klassiker mit Furigana

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ひがんすぎまで

彼岸過迄

夏目 漱石

Lesen Sie 彼岸過迄 (ひがんすぎまで) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 195.333 Zeichen · 385 Bildschirme

Aozora Bunko

七

彼はしばらく庭の方を向いて、麗かな日脚の中に咲く大きな椿を眺めていたが、やがて視線をもとに戻した。

「御母さんが是非千代ちゃんを貰えというのも、やっぱり血統上の考えから、身縁のものを僕の嫁にしたいという意味なんでしょうね」

「全くそこだ。ほかに何にもないんだ」

市蔵はそれでは貰おうとも云わなかった。僕もそれなら貰うかとも聞かなかった。

七

この会見は僕にとって美くしい経験の一つであった。双方で腹蔵なくすべてを打ち明け合う事ができたという点において、いまだに僕の貧しい過去を飾っている。相手の市蔵から見ても、あるいは生れて始めての慰藉ではなかったかと思う。とにかく彼が帰ったあとの僕の頭には、善い功徳を施こしたという愉快な感じが残ったのである。

「万事おれが引き受けてやるから心配しないがいい」

僕は彼を玄関に送り出しながら、最後にこういう言葉を彼の背に暖かくかけてやった。その代り姉に会見の結果を報告する時ははなはだまずかった。已を得ないから、卒業して頭に暇さえできれば、はっきりどうにか片をつけると云っているから、それまで待つが好かろう、今かれこれ突っつくのは試験の邪魔になるだけだからと、姉が聞いても無理のないところで、ひとまず宥めておいた。