Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
ひがんすぎまで
彼岸過迄
Lesen Sie 彼岸過迄 (ひがんすぎまで) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 195.333 Zeichen · 385 Bildschirme
八
したがって女は彼の好奇心を徒らに刺戟しただけで、ちっとも動いて来ない。しかしもし女だとすると、日といい時刻といい、須永の玄関から上り具合といい、どうも自分より一足先へ這入ったあの女らしい。想像と事実を継ぎ合わせる事に巧みな彼は、そうと確かめないうちに、てっきりそうときめてしまった。こう解釈した時彼は、今まで泡立っていた自分の好奇心に幾分の冷水を注したような満足を覚えると共に、予期したよりも平凡な方角に、手がかりが一つできたと云うつまらなさをも感じた。
八
彼は小川町まで来た時、ちょっと電車を下りても須永の門口まで行って、友の口から事実を確かめて見たいくらいに思ったが、単純な好奇心以外にそんな立ち入った詮議をすべき理由をどこにも見出し得ないので、我慢してすぐ三田線に移った。けれども真直に神田橋を抜けて丸の内を疾駆する際にも、自分は今須永の従妹の家に向って走りつつあるのだという心持は忘れなかった。彼は勧業銀行の辺で下りるはずのところを、つい桜田本郷町まで乗り越して驚ろいてまた暗い方へ引き返した。淋しい夜であったが尋ねる目的の家はすぐ知れた。丸い瓦斯に田口と書いた門の中を覗いて見ると、思ったより奥深そうな構であった。