Japanische Klassiker mit Furigana
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ひがんすぎまで
彼岸過迄
Lesen Sie 彼岸過迄 (ひがんすぎまで) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 195.333 Zeichen · 385 Bildschirme
須永の母が御寒いでしょうと云って、仕切りの唐紙を締めてくれたり、さあ御手をお出しなさいと云って、佐倉を埋けた火鉢を勧めてくれたりするうちに、一時昂奮した彼の気分はしだいに落ちついて来た。彼はシキとかいう白い絹へ秋田蕗を一面に大きく摺った襖の模様だの、唐桑らしくてらてらした黄色い手焙だのを眺めて、このしとやかで能弁な、人を外す事を知らないと云った風の母と話をした。
彼女の語るところによると、須永は今日矢来の叔父の家へ行ったのだそうである。
「じゃついでだから帰りに小日向へ廻って御寺参りをして来ておくれって申しましたら、御母さんは近頃無精になったようですね、この間も他に代理をさせたじゃありませんか、年を取ったせいかしらなんて悪口を云い云い出て参りましたが、あれもねあなた、せんだって中から風邪を引いて咽喉を痛めておりますので、今日も何なら止した方がいいじゃないかととめて見ましたが、やっぱり若いものは用心深いようでもどこか我無しゃらで、年寄の云う事などにはいっさい無頓着でございますから……」
須永の留守へ行くと、彼の母は唯一の楽みのようにこういう調子で伜の話をするのが常であった。