Japanische Klassiker mit Furigana
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ひがんすぎまで
彼岸過迄
Lesen Sie 彼岸過迄 (ひがんすぎまで) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 195.333 Zeichen · 385 Bildschirme
森本は自分で自分の腹をポンポン叩いて見せた。その腹は凹んで背中の方へ引つけられてるようであった。
「何しろ商売が商売だから身体は毀す一方ですよ。もっとも不養生もだいぶやりましたがね」と云った後で、急に思い出したようにアハハハと笑った。敬太郎はそれに調子を合せる気味で、
「今日は僕も閑だから、久しぶりでまたあなたの昔話でも伺いましょうか」と云った。すると森本は、
「ええ話しましょう」とすぐ乗気な返事をしたが、活溌なのはただ返事だけで、挙動の方は緩慢というよりも、すべての筋肉が湯にでられた結果、当分作用を中止している姿であった。
敬太郎が石鹸を塗けた頭をごしごしいわしたり、堅い足の裏や指の股を擦ったりする間、森本は依然として胡座をかいたまま、どこ一つ洗う気色は見えなかった。最後に瘠せた一塊の肉団をどぶりと湯の中に抛り込むように浸けて、敬太郎とほぼ同時に身体を拭きながら上って来た。そうして、
「たまに朝湯へ来ると綺麗で好い心持ですね」と云った。
「ええ。あなたのは洗うんでなくって、本当に湯に這入るんだからことにそうだろう。実用のための入湯でなくって、快感を貪ぼるための入浴なんだから」