Japanische Klassiker mit Furigana
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ひがんすぎまで
彼岸過迄
Lesen Sie 彼岸過迄 (ひがんすぎまで) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 195.333 Zeichen · 385 Bildschirme
十六
その代り今度のような場合にも、どこか慰さみがてらに、まあやって見ようという浮気がだいぶ交っていた。
十六
敬太郎はどこの占ない者に行ったものかと考えて見たが、あいにくどこという当もなかった。白山の裏とか、芝公園の中とか、銀座何丁目とか今までに名前を聞いたのは二三軒あるが、むやみに流行るのは山師らしくって行く気にならず、と云って、自分で嘘と知りつつ出鱈目を強いてもっともらしく述べる奴はなお不都合であるし、できるならば余り人の込み合わない家で、閑静な髯を生やした爺さんが奇警な言葉で、簡潔にすぱすぱと道い破ってくれるのがどこかにいればいいがと思った。そう思いながら、彼は自分の父がよく相談に出かけた、郷里の一本寺の隠居の顔を頭の中に描き出した。それからふと気がついて、考えるんだかただ坐っているんだか分らない自分の様子が馬鹿馬鹿しくなったので、とにかく出てそこいらを歩いてるうちに、運命が自分を誘い込むような占ない者の看板にぶつかるだろうという漠然たる頭に帽子を載せた。
彼は久しぶりに下谷の車坂へ出て、あれから東へ真直に、寺の門だの、仏師屋だの、古臭い生薬屋だの、徳川時代のがらくたを埃といっしょに並べた道具屋だのを左右に見ながら、わざと門跡の中を抜けて、奴鰻の角へ出た。