Japanische Klassiker mit Furigana
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あらじょたい
日本の文学 9 徳田秋声(一)
徳田 秋声
Lesen Sie 日本の文学 9 徳田秋声(一) (あらじょたい) von 徳田 秋声 (とくだしゅうせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 346.393 Zeichen · 692 Bildschirme
「どうしてこんなに早く来ただい。」
主婦は上って行くお庄の顔を見ると、言い出した。蒼白めたような頬に、薄い鬢の髪がひっついたようになって、主婦は今起きたばかりの慵い体をして、莨を喫っていた。
お庄はただ笑っていた。
「小言でも言われただかい。」
「いいえ。」
「何か失敗でもしたろ。」主婦はニヤニヤした。
「いいえ。」
「それじゃあすこが厭で逃げて来ただかい。逃げて来たって、お前の家はもう東京にゃないぞえ。」
お庄は袂で括れたような丸い顎のところを拭いていた。
「それにあすこはお父さんが、ちゃんと話をつけて預けて来たものだで、出るなら出るで、またその話をせにゃならん。お前は黙って出て来ただかい。」
「…………。」
「そんなことしちゃよくないわの。向うも心配しているだろうに。」と、主婦は煙管を下におくと、台所の方へ立って行った。そして、楊枝を使いながら、「家へ帰ったっていいこともないに、どうして浅草で辛抱しないだえ。銀行へ預けた金もちっとはあるというではないかい。」
お庄はしばらく見なかったこの部屋の様子を、じろじろ見廻していた。
奥から二男の糺も、繁三も起き出して来た。