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Japanische Klassiker mit Furigana

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あらじょたい

日本の文学 9 徳田秋声(一)

徳田 秋声

Lesen Sie 日本の文学 9 徳田秋声(一) (あらじょたい) von 徳田 秋声 (とくだしゅうせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 346.393 Zeichen · 692 Bildschirme

Aozora Bunko

三十六

雨はじきに霽って、また暑い日が簾に差して来た。

「お庄ちゃん、私氷が飲みたいがね。」と、叔母は傍から唸った。

お庄は洗濯ものに押しをしておいて、それから近所の氷屋へ走った。

氷が来た時分に、表から風の吹き通す茶の間の入口の、簾屏風の蔭に眠ていた正雄も、やっと目を覚ましかけて来た。正雄はそのころ、叔父の知っている八重洲河岸の洋服屋へ行っていた。東京で一番古いその洋服屋は、外国へ行って来た最初の職人であった。お庄は外から帰りがけに、正体なく寝込んでいる弟の二の腕に彫りかけた入れ墨のあるのに目を着けた。

「正ちゃんは大変なことをしていますよ。」お庄が叔母に言いつけると、叔母もびっくりして出て来て見た。弟の腕には、牡丹のような花が、碧黒く黛を入れられてあった。

「誰にそんなことをされたんです。こんなもの早く取っておしまいなさい。正ちゃんは自分の体を何と思っているの。」と、お庄は叔母と一緒になって小言を言った。

夕方に弟はすごすご帰って行った。お庄はまた釜の下へ火を焚きつけて、行水の湯を沸かしにかかった。

三十六

少し涼気が立ってから、叔母が上州の温泉へ行った留守に、しばらく田舎へ行っていた母親がまた戻って来て、お庄と一緒に留守をすることになった。