Japanische Klassiker mit Furigana
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あらじょたい
日本の文学 9 徳田秋声(一)
徳田 秋声
Lesen Sie 日本の文学 9 徳田秋声(一) (あらじょたい) von 徳田 秋声 (とくだしゅうせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 346.393 Zeichen · 692 Bildschirme
頬が寒い風に逢って来たので紅味を差して、湿みを持った目が美しく輝いた。が、どことなく恐怖を帯びている。唇の色も淡く、紊れ毛もそそけていた。
「どうしたんです。」新吉は不安らしくその顔を瞶めたが、じきに視線を外して、「マアお上んなさい。こんな汚いところで、坐るところもありゃしません。それに嚊はいませんし、ずっと、男世帯で、気味が悪いですけれど、マア奥へお通んなさい。」
「いいえ、どう致しまして……。」女はにっこり笑って、そっちこっち店を見廻した。
「真実に景気のよさそうな店ですこと。心持のいいほど品物が入っているわ。」
「いいえ、場所が場所だから、てんでお話になりゃしません。」
新吉は奥へ行って、蒲団を長火鉢の前へ敷きなどして、「サアどうぞ……。」と声かけた。
「お忙しいところ、どうも済みませんね。」とお国はコートを脱いで、奥へ通ると、「どうもしばらく……。」と更まって、お辞儀をして、ジロジロ四下を見廻した。
「随分きちんとしていますわね。それに何から何まで揃って、小野なんざとても敵やしません。」と包みの中から菓子を出して、片隅へ推しやると、低声で何やら言っていた。