Japanische Klassiker mit Furigana
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あらじょたい
日本の文学 9 徳田秋声(一)
徳田 秋声
Lesen Sie 日本の文学 9 徳田秋声(一) (あらじょたい) von 徳田 秋声 (とくだしゅうせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 346.393 Zeichen · 692 Bildschirme
赤子はぽっかり目を開いて口を動かしていた。目には木の影が青く映っていた。その顔を見ていると、笹村は淡い憐憫の情と哀愁とを禁じ得なかった。そしていつまでもそこにしゃがんでいた。
「早くやろうじゃないか。今のうちなら私生児にしなくても済む。」
笹村は乳房を喞んでいる赤子の顔を見ながら、時々想い出したように母親の決心を促した。
「私育てますよ。あなたの厄介にならずに育てますよ。乳だってこんなにたくさんあるんですもの。」
お銀は終いによそよそしいような口を利いたが、自分一人で育てて行けるだけの自信も決心もまだなかった。
笹村はしばらく忘れていた仕事の方へ、また心が向いた。別れることについて、一日評議をしたあげく、晩方ふいと家を出て、下宿の方へ行って見た。夏の初めにお銀と一緒に、通りへ出て買って来た質素な柄の一枚しかないネルの単衣の、肩のあたりがもう日焼けのしたのが、体に厚ぼったく感ぜられて見すぼらしかった。手や足にも汗がにじみ出て、下宿の部屋へ入って行った時には、睡眠不足の目が昏むようであった。笹村は着物を脱いで、築山の側にある井戸の傍へ行くと、冷たい水に手拭を絞って体を拭いた。