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Japanische Klassiker mit Furigana

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あらじょたい

日本の文学 9 徳田秋声(一)

徳田 秋声

Lesen Sie 日本の文学 9 徳田秋声(一) (あらじょたい) von 徳田 秋声 (とくだしゅうせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 346.393 Zeichen · 692 Bildschirme

Aozora Bunko

そしてこの十四、五日ばかり煩いの多かった頭を落ち着けようとして、机の前に坐って見たが、ここへ来て見ると、家で忘れられていたことが、いろいろに思い出されて来た。M先生から折々せつかれる仕事のこともそうであったが、自分がしばらく何も書かずにいることも不安であった。国にいる年老った母親から来る手紙に、下宿へ出る前後から、まだ一度も返辞を書かなかったことなども、時々笹村の心を曇らした。笹村は先刻抽斗を開けた時も、月の初めに家で受け取って、そのまま袂へ入れて持って来ると、封も切らずにしまっておいた手紙が一通目についた。笹村は長いあいだ、貧しく暮している母親に、送るべきものも送れずにいた。

そこらが薄暗くなっているのに気がつくと、笹村はマッチを摺ってランプを点けて見たが、余熱のまだ冷めない部屋は、息苦しいほど暑かった。急にまた先生の方のことが気になって、下宿を出ると、足が自然にそっちへ向いた。笹村はこれまでにもちょっとした反抗心から、長く先生に背いていると、何かしら一種の心寂しさと不安を感ずることがたびたびあった。

先生はちょうど按摩を取って寝ていた。七月に入ってから、先生の体は一層衰弱して来た。