Japanische Klassiker mit Furigana
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あらじょたい
日本の文学 9 徳田秋声(一)
徳田 秋声
Lesen Sie 日本の文学 9 徳田秋声(一) (あらじょたい) von 徳田 秋声 (とくだしゅうせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 346.393 Zeichen · 692 Bildschirme
」
笹村はそのころから、少しずつ金の融通が利くようになっていた。新しい本屋から、原稿を貰いに来る向きも一、二軒あったし、しまっておいた新聞の古も、いつとはなしに出て行った。それだけ暮しも初めほど手詰りでなくなった。笹村は下町の方から帰って来ると、きっと買いつけの翫具屋へ寄って、正一のために変った翫具を見つけた。子供は翫具を持って一人で遊ぶようになっていた。
お銀はそのころまだ長火鉢の抽斗にしまってあった丸薬を取り出して、時々笹村に見せた。
「あの時のことを思うと、情ないような気がする。」
お銀は目を曇ませながら、傍に遊んでいる子供の顔を眺めた。
「坊は阿母さんが助けてあげたんだよ。大きくなったら、また阿母さんがよく話して聞かしてあげるからね。」
お銀は笹村を厭がらせるような調子で言った。
「あの時のことを忘れないために、この丸薬はいつまでもこうやってしまっておきましょうね。」
「莫迦。」笹村は苦笑した。
お銀は胎児のために乳を褫われようとして、日に日に気のいじけて来る子供のうるささを、少しずつ感じて来た。そして老人の手に懐けさせようとしたが、子供は母親よりもしなやかでない老人の手を嫌った。