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Japanische Klassiker mit Furigana

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あらじょたい

日本の文学 9 徳田秋声(一)

徳田 秋声

Lesen Sie 日本の文学 9 徳田秋声(一) (あらじょたい) von 徳田 秋声 (とくだしゅうせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 346.393 Zeichen · 692 Bildschirme

Aozora Bunko

五十七

笹村は、そんな内輪の事情を、そのころまた旧の友情の恢復されていた深山にだけ時々打明け話をしたが、やはり独りでもだもだと頭を悩ましていることが多かった。そうして気が結ぼれていると、苦しい頭が狂い出しそうになった。

五十七

そんな周囲の事情は、お銀のちょっとした燥いだ口の利き方や、焦だちやすい動物をおひゃらかして悦んでいるような気軽な態度を見せられるたんびに、笹村をして妻を太々しい女のように思わしめた。そして圧し潰されたような厭な気分で、飯を食いに出るほかは、狭い檻のような自分の書斎のなかに、黙って閉じ籠ってばかりいた。笹村の臆病な冷たい目は、これまでに触れて来た女の非点ばかりを捜して行った。

朝の食膳に向っている時、そうして張り合っている不快な顔の筋肉が、ふとくすぐられるような弛びを覚えて、双方で噴飯してしまうようなことはこれまでにめずらしくなかったが、このごろの笹村の嫌厭の情は妻のそうした愛嬌を打ち消すに十分であった。

笹村の目には、これまでにない醜い女が映って来た。そしてそれを見つめている苦しさに堪えられなかったが、お銀の頭にも、夫婦間に迫っている危機が感ぜられた。