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Japanische Klassiker mit Furigana

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あらじょたい

日本の文学 9 徳田秋声(一)

徳田 秋声

Lesen Sie 日本の文学 9 徳田秋声(一) (あらじょたい) von 徳田 秋声 (とくだしゅうせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 346.393 Zeichen · 692 Bildschirme

Aozora Bunko

七十九

七十九

「お湯にお入んなすって。」といって毎日毎日刻限になると、栗山から来ているという、行儀のよい小娘が、部屋の入口へ来てにっこりしながら声かけるころには、笹村の頭は何を考えるともなしに萎え疲れていた。沈黙の苦痛に気が変になりそうなこともあったが、やはり部屋を動くのが厭であった。

もう十日の余もいて、町の人の生活状態も解っていたし、宿の人たちのことも按摩などの口から時々に聴き取って、ほぼ明らかになっていた。町の宿屋という宿屋は、日光山へ登る旅客がここを通らなくなってからは、大抵達磨宿のようなものになってしまった。町の裏に繁っていた森も年々に伐り尽されて、痩せ土には米も熟らないのであった。唯一の得意先であった足尾の方へ荷物を運ぶ馬も今は何ほども立たなかった。そのなかでその宿だけは格を崩さずにいた。裏には顕官の来て泊る新築の一構えなどもあった。魚河岸から集金に来ている一人の親方は、そこの広間で毎日土地の芸妓や鼓笛の師匠などを集めて騒いでいた。

湯殿の上り場には、掘りぬきの水が不断に流れていた。山から取って来てその水に浸けてある淡色の夏雪草などを眺めながら、笹村は筋肉のふやけきったような体を湯に浸していた。