Japanische Klassiker mit Furigana
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あらじょたい
日本の文学 9 徳田秋声(一)
徳田 秋声
Lesen Sie 日本の文学 9 徳田秋声(一) (あらじょたい) von 徳田 秋声 (とくだしゅうせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 346.393 Zeichen · 692 Bildschirme
」
「ううん、何だかつまらなかったから、浅草のお雪さんの家を訪ねて見たの。」
お増は背筋のところの汗になった襦袢や白縮緬の腰巻きなどを取って、縁側の方へ拡げながら言った。
「こら、こんなに汗になってしまった。」
お増は裸のままで、しばらくそこに涼んでいた。
「何か食べるの。」
「そうだね、何か食べに出ようか。」
「ううん、つまらないからお止しなさいよ。」
お増は台所で体を拭くと、浴衣のうえに、細い博多の仕扱を巻きつけて、角の氷屋から氷や水菓子などを取って来た。そして入口の板戸をぴったり締めて内へ入って来た。
お増はこの二、三日の寂しさを、一時に取返しをつけるような心持で、浅井の羽織などを畳んだり、持物をしまい込みなどして、ちびちび酒を飲む男の側で、団扇を使ったり、酒をつけたりした。そして時々時間を気にしている浅井の態度が飽き足りなかった。
十
その晩そこに泊った浅井が、明朝目を醒ましたのは大分遅くであった。その日もじりじり暑かった。昨夜更けてから、寝床のなかで、どこかの草間や、石の下などで啼いている虫の音を聞いた時には、もう涼しい秋が来たようで、壁に映る有明けの灯影や、枕頭におかれたコップや水差し、畳の手触りまでが、冷やかであったが、睡りの足りない頭や体には、昼間の残暑は、一層じめじめと悪暑く感ぜられた。