Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
あらじょたい
日本の文学 9 徳田秋声(一)
徳田 秋声
Lesen Sie 日本の文学 9 徳田秋声(一) (あらじょたい) von 徳田 秋声 (とくだしゅうせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 346.393 Zeichen · 692 Bildschirme
」
お増は時々うっかり物に見入っている子供の名を呼んで、柔かい小さい手を引っ張りなどしたが、やはり気乗りがしなかった。
「母ちゃん――。」
子供は父親のいない家のなかが寂しくなって来ると、思い出したように、抱いてでももらいたそうにお増の側へ寄って来るのであったが、女らしい優しさや、母親らしい甘い言葉の出ないのが、お増自身にももの足りなかった。
お増は茶箪笥の鑵のなかから、干菓子を取り出して、子供にくれた。
二十九
静子と同じ年ごろの男の子が、時々門の外へ来て、「静子ちゃん遊びまちょう。」などと声かけた。「はーい。」と奥から返事をして、静子は護謨鞠などを持って駈け出して行くのであったが、男の子は時々呼び込まれて家のなかへも入って来た。色の蒼い、体の弱そうなその子は、いろいろな翫具を取り出してしばらく静子と遊んでいるかと思うと、じきに飽きてしまうらしかった。
「坊ちゃんのお父さんは何をなさるの。」
二人で仲よく遊んでいる子供のいたいけな様子に釣り込まれながら、お増はいつか自分の荒く育った幼年時代のことなどを憶い出していた。町垠にあったお増の家では、父親が少しばかりあった田畑へ出て、精悍精悍しくよく働いていた。