Japanische Klassiker mit Furigana
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あらじょたい
日本の文学 9 徳田秋声(一)
徳田 秋声
Lesen Sie 日本の文学 9 徳田秋声(一) (あらじょたい) von 徳田 秋声 (とくだしゅうせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 346.393 Zeichen · 692 Bildschirme
今までいなかったような浅井の寝顔が、薄赤い電燈の光のなかに、黄色く濁ったように眺められるのが、覚めたお増の目に、気味が悪いようであった。
まじまじ天井を見詰めているお増の目に、いつか気の狂って死んだというお柳の姿が、まざまざと浮き出して来た。
時々兄や母の圧えつける手から脱れて、東京へ行くといっては、もがき苦しんだり、家中暴れまわったりしたというお柳の、死んだという兄からの報知が、浅井のところへ来たのは、ついこのごろのことであった。
お柳は夜中に、寝所から飛び出して、田舎の寂しい町を、帯しろ裸の素足のままで、すたすた交番へ駈け着けたりなどした。
「ちょいと恐れ入りますがね、今私を殺すといって、家へ男が押し込んで来ましてね……。」
お柳はそう言いながら、蒼い死人のような顔をして、落ち窪んだ目ばかり光らせていた。
そこへ兄が、跡を追ってやって来た。兄とお柳との劇しい格闘が、道傍に始まった。おそろしい力が、痩せ細ったお柳の腕にあった。引き摺られて行ったお柳は、兵児帯で縛られて、寝所に臥かされたが、もうもがく力もなかった。
兄の留守のまに、お柳は時々荒れ出して、年老った母親をてこずらせた。