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Japanische Klassiker mit Furigana

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あらじょたい

日本の文学 9 徳田秋声(一)

徳田 秋声

Lesen Sie 日本の文学 9 徳田秋声(一) (あらじょたい) von 徳田 秋声 (とくだしゅうせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 346.393 Zeichen · 692 Bildschirme

Aozora Bunko

浅井がちょうど二階から下りて来たのであった。病院以来、めっきり気分のだらけて来たお今は、まだ目蓋などの脹れぼったい、眠いような顔をして、茶の室の薄暗いところにある鏡の前へ立っては髪を気にしたり、白粉を塗ったりしていた。

いつも気のそわそわしているお今は、今朝は筋肉などの硬張った顔に、活き活きした表情の影さえ見られず、お増などに対する口も重かった。昨夜お増夫婦の言争いが募って、浅井が二階へあがってからも、自分に機嫌の悪かったお増が、とげとげした調子で二階へあがって行くまで、猫板のところに投り出されてあった、自分の貰いにくくなって辞退した指環の、どこか姿を隠してしまったことや、夫婦の争いの鎮まったひっそりした夜更けの二階のさまなどが、眠られない頭脳を掻きるように苛立たせて、腹立たしさと悲しさとに、びっしょり枕紙を濡らしていたくらいであった。

しっとりとした雨のふるある晩に、病院か、さもなければいつもの馴染みの何子とかいう芸者のところだとばかり思っていた浅井の、表の戸をさしてしまった夜中過ぎに、酒に酔って帰って来たときのことなどが、お今の目に、まざまざと、浮んで来た。