Japanische Klassiker mit Furigana
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がまのち
日本怪談大全 第一巻 女怪の館
田中 貢太郎
Lesen Sie 日本怪談大全 第一巻 女怪の館 (がまのち) von 田中 貢太郎 (たなかこうたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 192.678 Zeichen · 394 Bildschirme
「ま、咽喉を突いて、どうしたと云うのでしょう、可哀そうでございますの、ね」
「可哀そうですよ、私のテーブルへ来て靺鞨の玉と云うのを人に盗まれたから、それを探して、東洋の港から港をさまようていると云ったのですよ、へんな夢のようなことを云ってましたから、どうしても狂人ですね」
「そうでしょうか、それにしても、可哀そうじゃございませんか、どこの方でしょう」
「さあ、どうも支那人らしいです、ね」
「そうでございましょうか」
謙作はこの時、この女は思ったような女でないと思って軽い失望を感じた。彼はすぐ切りあげようと思って衣兜から煙草をだした。
「今、何か持ってまいりますから、どうぞ御ゆっくり、独りで淋しくって淋しくって困ってるところでございますから」
女は隻手をテーブルにかけて縋るようにしていた体を起して、鉢の陰からマッチを擦って出した。謙作はその火に煙草をだした。
「すみません、お茶を一つ戴いて帰りましょう、六時の船に乗ることになってますから」
「でも、すこしはおよろしゅうございましょう」
その途端に扉の軋る音がして入った者があった。それは白い前垂をした壮い女が盆の上に瓢箪の形をした陶品のビンを載せ、それに小さな脚の長いコップを添えて持って来たところであった。