Japanische Klassiker mit Furigana
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がまのち
日本怪談大全 第一巻 女怪の館
田中 貢太郎
Lesen Sie 日本怪談大全 第一巻 女怪の館 (がまのち) von 田中 貢太郎 (たなかこうたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 192.678 Zeichen · 394 Bildschirme
※(ローマ数字11、1-13-31)
「そうだな」
※(ローマ数字11、1-13-31)
洋燈の燈は沈んでいた。そこは賢次の家の二階であった。賢次の家は蒲鉾屋であるからどことなしに魚の匂が漂うていた。広巳と賢次はそこで話していた。二人の前にはビールの壜があった。
「そんなことはないだろう、君んとこは、金はあるし、兄さんはあんないい人だし、へんじゃないか」
「そりゃ、兄貴はお人好しで、俺を児のように可愛がってくれるが、他がいけないのだ」
「他と云ったところで、姉さんばかりじゃないか、姉さんといけないのか、君を可愛がるじゃないか」
「いかん、あれはいかん」
「どうした」
広巳はさすがに口に出せなかった。
「どうと云うわけもないが」云い方を考えて、「なんと云うのか、家が収まらん、兄貴が死にでもすると、家がめちゃめちゃになるのだ」
「まさか、そんなことはないだろう、華美ずきで、あちこちへ往くようだが、てきぱきして、家のことでもなんでも、兄さんにかわってやってるじゃないか」
「それがいけないのだ、出しゃばって、華美好きな女なんて、ろくなことはしないのだ」
「無駄づかいでもするのか」
「無駄づかい、無駄づかいも、衣裳道楽とか、演劇道楽とか、そんな道楽なら、たいしたこともないが、いけないのだ」