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Japanische Klassiker mit Furigana

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がまのち

日本怪談大全 第一巻 女怪の館

田中 貢太郎

Lesen Sie 日本怪談大全 第一巻 女怪の館 (がまのち) von 田中 貢太郎 (たなかこうたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 192.678 Zeichen · 394 Bildschirme

Aozora Bunko

※

広栄の眼は次の一枚に往った。それは山田稔とした壮い俳優の自筆であった。広栄の顔は蒼黒くなっていた。

「どうだ、君、読んだのか」

広栄は何も云えなかった。

「おい、その小島杉としたのは、汝の処へ出入するお杉と云う婆さんだ、もっとも婆さんは、字が書けないと云うから、俺が書いてやったのだが、一つの山田稔と云うのは、本人が書いたのだ、品川にごろごろしてる馬の脚だ、それを婆さんが執りもって、ふざけた真似をさしていたのだ、おい、一昨日、媽あは、家にいなかったろう、どうだ、家にいたか」

広栄は眼を伏せていた。

「おい、汝の媽あは大森の魁春楼にいたのだが、判ってるか」

その時客座敷の背後の室には、お高がそっと立って耳をすましていたが、その詞を聞くなり、こそこそと室を出てどこへか往ってしまった。

※

店頭にいた定七が婢が呼びに来たので、急いで番傘をさして街路へ出た。広巳が蛇目傘を担ぐようにさして、大森の方からふらふらと帰って来たところであった。

「広巳さん、若旦那」

広巳は酔っていた。広巳ははじめて定七を見つけた。

「ああ、定七か」

「定七かじゃありませんよ、どこにいらしたのです、心配しておりましたよ」