Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
がまのち
日本怪談大全 第一巻 女怪の館
田中 貢太郎
Lesen Sie 日本怪談大全 第一巻 女怪の館 (がまのち) von 田中 貢太郎 (たなかこうたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 192.678 Zeichen · 394 Bildschirme
女の首
新吉は公園の活動写真館の前を歩きながら、今のさき点いたばかりの白昼のような電燈の光に浮き出て見える群集の顔をじろじろ見ていたが、思い出したようにその眼を活動写真館の看板絵にやった。しかし、それは色彩の濃い絵を見るためではなかった。彼はまたむこうの方へ真直にずんずんと歩きだした。しかし、それに目的があるためでもなかった。
新吉はまた元のように擦れ違う人の顔をじろじろ見だした。束髪の顔、円髷の顔、銀杏返の顔、新吉の眼に映るものは女の顔ばかりであった。彼はその顔の中にどこかにおずおずした物おびえのある顔を注意していた。
石を敷いた路の右側には白いアセチリン瓦斯の燈があって、茹卵や落花生を売る露店が見えていた。瓦斯の燈はその露店の後に垂れた柳の枝の嫩葉にかかっていた。
新吉の眼はその柳の嫩葉にちらちらと動いて往ったが、それには何の意味もなかった。
「おい新さん、好い儲口でもあるかい」
ひやかすように云って笑声をする者があった。それは茶の中折を着た小柄な男であった。
「さんちゃんか、お前じゃあるまいし、儲口なんか捜して歩くものかい」
新吉は笑って見せた。
「いけねえ、いけねえ、そんなことを云ったって、ちゃんと種があがってるのだ、これはどうだい」